世界の果てが見てみたくなって、歩き出した。
気が遠くなるほど歩き続けて、やっと辿り着いた。
そこには一本の境界線が引いてあって、土地の区分に使われるような杭が所々に打たれていた。
そしてすっかり錆びたぼろっちい看板。
「世界の果て」
その境界線の向こうには、まだまだ今まで歩いてきたのと変わらない景色が続いていたけれど、世界の果てを見て満足した僕はもと来た道を引き返した。
黒い街に住む人々は、黒い街は暗すぎると嘆いた。
白い街に住む人々は、白い街は寒すぎると嘆いた。
そこで、二つの街の境界を混ぜ合わせて灰色の街を作った。
灰色の街は、白い街よりは寒くなく、黒い街よりは明るかった。
灰色の道。灰色の空。灰色の空から降る灰色の雪。
どこまでもどこまでも続く淡い灰色は、黒色よりも刺激がなく、白色よりも光が無く。どこまでも続く淡い灰色の絶望に人々はばたばたと倒れ臥し、それを灰色の雪が覆っていった。