鳥居の赤は胸に秘めた思いの色。 ひたむきな一つの願いを胸に、女は今日も鳥居をくぐる。昨日も、おとといも、さきおとといも。信仰心・霊的なものへの畏怖等が希薄になりつつある現代にあって、毎日神社に通いつめるほど女の願いはひたむきであった。誰にも言えぬ、痛いほどに一途な思いを胸に抱き、女は毎日この時刻に神社へやってくる。 この願い叶えたまえ。 月明かりに照らされる赤い鳥居をくぐり抜け、社の前で横道にそれ、黒々とした鎮守の森へ。 その手には藁人形と五寸釘。