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作り話
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JET戦兵―作り話




2003/3/8(土)
   甘く苦い記憶

ココアを淹れましたよ。一息つきませんか。
ああ、甘さは控えめにしてありますからお好みで砂糖を足してくださいね。ヴァンホーテン等の純ココアは甘さを調節できるので助かります。市販の調整ココアは私には甘過ぎますので。

初めて純ココアパウダーに出会ったときは驚いたなぁ。
だって匂いはとても甘いのに、その甘い香りに惹かれて一口舐めてみたらあなた!薬みたいに苦いんですから。ああ、そう言えば同じ経験をバニラエッセンスでもしたっけ。
「騙された!」と思いましたね。羊頭狗肉もいいとこですよ。随分な裏切りです。そう、私はココアで人生と言う物の苦さ、裏切り、卑劣さを学んだのです。まあそんな誇大妄想はどうでもよいのですが。

しかし不思議じゃありませんか?匂いと味はそれぞれ別の器官で受容する別々の感覚のはず。それなのに何故「甘い匂い」という概念があり、また、「甘い匂いの物は甘い味がする」はずだと思い込んでいたのでしょうか。

私が思うに、やはりこれは経験によって作られた思い込みじゃないでしょうか。つまり、子供のころから砂糖をたっぷり入れた甘いココアやバニラの香りのする甘いお菓子に幾度となく触れてきた結果、「この匂い」イコール「甘い味」の図式が脳内に出来てしまった、と。

ということはですね。逆に子供のころからココアパウダーやバニラエッセンスを舐めさせて育てれば、それらの匂いを「甘い匂い」だなどと間違った認識をしない人間に育つ筈です。そうすればその子は、ココアパウダーを舐めて「騙された!」とショックを受けないで済むのですよ。ああ、これは良い考えだ。私が万が一子供の親になるようなことがあれば是非試してみよう。

そして、甘いココアやお菓子を見せると、薬を飲まされるかのように泣いて逃げ惑う子供。

なんかわくわくしてきました。