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作り話
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JET戦兵―作り話




2003/09/06(土)
   Au

部屋の掃除をしていたらベッドの下から見慣れない小瓶が出てきた。開けると中から妙な生き物が飛び出してきてキィキィと金切り声で喋り出した。
「出してくれた礼に願いを一つ叶えてやる」
なんとケチくさい。普通は三つなんじゃないかと思ったが、一つの願いすら叶えて貰えなかったら事なのでかねてからの願いを言った。
「触れたもの全てを黄金に変える手を」
妙な生き物は人を小馬鹿にした顔で言った。
「随分昔に同じ願いを口にした男がどんなに難儀したか知らないのか?」
もちろんその話は知っている。しかし私はその御伽話の男のように愚かではない。生き物の台詞を鼻で笑うと準備をする為私は一旦奥の部屋へ引っ込んだ。

「さあ、準備は整った。早いところこの手に魔法をかけてくれ」
妙な生き物は私の両手の上に手をかざし、何事かぶつぶつと呟いた。その儀式が終るや否や私の手に異変が起きた。指が1ミリたりとも動かない。すっかり金色の冷たい金属に変わってしまった手袋に手を固定され、私は指を動かす事も、その手袋を脱ぐ事さえもできなくなっていた。その様子を見て妙な生き物はげらげらと笑いながら何処かへ飛び去っていった。